近年、テレビや新聞などにより葬祭サービスに係る消費者トラブルや苦情が増加していることが相次いで報道され、葬祭事業者の信頼性が問われている。
公正取引委員会は、こうした状況を踏まえ葬儀の取引実態を調査し、平成17年7月「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」を発表し、葬祭関係事業者に対し適切な対応と公正かつ自由な競争の促進を求めている。
また、平成18年6月、独立行政法人国民生活センターから、業界ガイドライン等の整備、消費者トラブルに関する相談窓口の整備、葬儀知識・情報の提供に関する環境の整備等に努めるよう要請されている。
しかしながら、葬祭業は今日まで葬祭事業および事業者を直接規制する法律はなく、また葬祭業界の自主的ルールも定められていないのが現状である。
経済産業大臣認可全日本葬祭業協同組合連合会(以下「全葬連」という)は、加盟の葬祭事業者(以下「所属員」という)が消費者保護の観点に立脚し適正な事業活動を行うことにより、消費者が安心して葬祭サービスを受けることができる環境を整備し、消費者の信頼の確保と葬祭業界の健全な育成・発展に寄与するため「全葬連葬祭サービスガイドライン」(以下「ガイドライン」という)を定めるものである。
公正取引委員会は、こうした状況を踏まえ葬儀の取引実態を調査し、平成17年7月「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」を発表し、葬祭関係事業者に対し適切な対応と公正かつ自由な競争の促進を求めている。
また、平成18年6月、独立行政法人国民生活センターから、業界ガイドライン等の整備、消費者トラブルに関する相談窓口の整備、葬儀知識・情報の提供に関する環境の整備等に努めるよう要請されている。
しかしながら、葬祭業は今日まで葬祭事業および事業者を直接規制する法律はなく、また葬祭業界の自主的ルールも定められていないのが現状である。
経済産業大臣認可全日本葬祭業協同組合連合会(以下「全葬連」という)は、加盟の葬祭事業者(以下「所属員」という)が消費者保護の観点に立脚し適正な事業活動を行うことにより、消費者が安心して葬祭サービスを受けることができる環境を整備し、消費者の信頼の確保と葬祭業界の健全な育成・発展に寄与するため「全葬連葬祭サービスガイドライン」(以下「ガイドライン」という)を定めるものである。
葬祭サービスを利用する消費者の要請に応え、消費者保護の精神に基づき葬祭サービス提供事業者の企業行動指針として「ガイドライン」を定め、これを遵守することにより、事業者の信頼を確保し、業界の健全な発展に資することを目的とする。
この「ガイドライン」は、全葬連の所属員に適用する。
- この「ガイドライン」を遵守することを誓約した所属員を「葬祭サービスガイドライン遵守事業者」(以下「ガイドライン遵守事業者」という)とする。
- 「ガイドライン遵守事業者」は、全葬連に備える「ガイドライン遵守事業者名簿」に登録し、公表する。
- 所属員は、葬祭事業の社会的使命を自覚し、公正、適正な事業活動を通じ地域社会の発展に貢献し、社会にとって有用な存在でなければならない。
- 所属員は、消費者の基本的人権を尊重し、個人情報の保護に配慮し、消費者の多様なニーズに誠実に応え、消費者の満足と信頼を獲得しなければならない。
- 所属員は、この「ガイドライン」の精神を実現するため、実効性ある社内態勢の整備を図るとともに、企業倫理の徹底に努めなければならない。
- 所属員は、厳粛なる葬祭サービスの提供にあたっては、ご遺体の尊厳の確保、ご遺族の想い・要望の尊重、ご遺族・会葬者への配慮等基本的人権の尊重に努めなければならない。
- 所属員は、業務上知り得た顧客情報を守秘するとともに、個人情報保護法および全葬連プライバシー・ポリシー(「お客様情報の取扱いについて」全葬連指針)の遵守・徹底を図り、個人情報の適正な管理に努めなければならない。
所属員は、葬祭サービスの提供にあたっては、ご遺族の想い・要望を真摯に受けとめ、ご遺族の選択の自由を尊重するよう努めなければならない。
所属員は、常に適正な事業活動を行い、公正かつ自由な競争の確保に努め、根拠のない誹謗中傷、不当表示・虚偽表示など法令違反や反社会的行為を行ってはならない。
所属員は、葬祭業務を行う上で、墓地埋葬等に関する法律、貨物自動車運送事業法(霊柩運送約款)、消費者契約法、個人情報保護法、その他関係法令を遵守しなければならない。
- 所属員は、消費者に提供する葬祭サービス内容や料金その他有用な情報を開示・提供し、適切な助言を行い、消費者が適正な選択・決定ができるよう努めなければならない。
- 消費者に開示・提供するパンフレット等の情報ツールは、分かりやすい表現・表示や平易な用語を使用するよう配慮しなければならない。
- 消費者に開示・提供するサービス内容・料金等の情報ツールには、不当表示、虚偽表示、誇大表示等を行ってはならない。(景品表示法)
- 所属員は、常に葬儀に係る知識の普及・啓発に努めなければならない。
- 所属員は、消費者に対し提供する葬祭サービス内容や料金など必要な情報を、明確かつ理解しやすく説明しなければならない。
- 所属員は、消費者に対し特に以下の事項およびその関連内容等について誠実に説明しなければならない。
- 事前相談、事後相談に係る事項
- 打合せ・見積りに係る事項
- 通夜、葬儀・告別式全般の進行・運営に係る事項
- 見積り後の内容や仕様、数量等の追加・変更に係る事項
- 見積り以外(宗教者関係、飲食、供花、ギフト、霊柩自動車・ハイヤー・タクシー・マイクロバス等車両関係、火葬場関係等)の別途費用の発生に係る事項
- 立替え、取次ぎ・斡旋等に係る事項
- 見積書と請求書の内容・金額等の差異に係る事項
- 消費者にとって有益となる事項
- 葬儀施行契約上の重要事項について消費者の不利益となる事実(消費者契約法)
- 所属員は、葬儀に係る事前・事後の相談窓口を設置し、誠実に相談に応じ、疑問・不明点等への適切な説明・助言を行うなど総合的支援を行うよう努めなければならない。
- 相談窓口の設置にあたっては、相談しやすい環境をつくるよう努めなければならない。
- 所属員は、社員・相談員の教育・研修の実施や相談用ツールの作成など消費者の相談に対応できる社内態勢の整備に努めなければならない。
所属員は、提供する葬祭サービス等の料金体系の透明化、明確化、平易化を図り、消費者が理解しやすい体系を構築するよう努めなければならない。
- 所属員は、提供する商品・サービス等の商品目録(カタログ・パンフレット等)および価格表を必ず提示しなければならない。
- 提供する商品・サービス等の商品目録、価格表等は、明確かつ平易な表現や写真等を用いて、消費者にとって分かりやすい内容となるよう努めなければならない。
- 葬祭に係る商品・サービス等を「一式」「コース」「パック」「プラン」「セット」などで提供する場合には、含まれているものの内容・仕様・質・数量等の構成内容および料金を明記するとともに、含まれていないものについては別途費用が生ずる旨付記しなければならない。
- 商品・サービス等の商品目録、価格表、パンフレット等は当該葬儀施行時から1年間保存するよう努めなければならない。
- 所属員は、ご遺族から葬儀の施行依頼を受けたときは、ご遺族の要望を誠実に受けとめ、必要事項等について齟齬をきたさないよう十分打合せを行い、合意を得た上、見積書を作成し、ご遺族に交付しなければならない。
- 所属員は、消費者にとって分かりやすい様式の見積書を作成するよう努めなければならない。
- 作成した葬儀打合せ書および見積書には、記載内容を再確認の上、遺族代表者の署名(サイン)または確認印を受けるよう努めなければならない。
- 見積書に記載されている商品・サービス等の内容・仕様・数量等の変更または追加が生ずる場合には、口頭または書面により変更・追加内容を説明し、ご遺族の了承を得なければならない。
- 企画料、管理料、運営料・サービス料、スタッフ奉仕料等の役務に関する料金がある場合には、十分な説明を行い見積書に明記しなければならない。
- 見積書には、消費税について内税または外税の別および消費税額を明記しなければならない。
- 葬儀打合せ書または見積書には、個人情報保護に係る法令等を遵守する旨を記載するよう努めなければならない。
所属員は、葬儀の施行にあたっては、ご遺族の要望を真摯に受けとめ、誠意をもって誠実に行わなければならない。
- 所属員は、提供した商品・サービス等の全ての費用を記載した請求書(施行費用明細書)を交付しなければならない。
- 請求書は、消費者にとって分かりやすい様式にするよう努めなければならない。
- 見積書に記載されている商品・役務サービス等の内容・仕様・数量等の変更または追加が生じた場合には、見積書と請求書との内容・金額の差異およびその理由・原因等について説明しなければならない。
- 心付けは遺族の自由意志によるものであり、遺族の意向を尊重し、適切に対処しなければならない。
- 心付けが地域の慣習・慣行となっている場合には、その旨を説明し、了承を得なければならない。
所属員は、利用者の利便性に配慮し、店舗、式場等の環境整備に努めなければならない。
所属員は、ご遺族、会葬者および社員の安全、衛生に配慮し、その環境の整備に努めなければならない。
- 所属員は、社員教育を徹底し消費者トラブルの発生を防止するとともに、苦情処理の社内態勢の整備に努めなければならない。
- 全葬連の「消費者相談室」からトラブル・苦情等の相談があった旨通知を受けた当該所属員は、速やかにその解決に努めなければならない。
- 所属員と消費者との当事者間において、トラブル・苦情等の解決ができず、全所属員に及ぼす影響が大きいと判断したときは、「全葬連消費者トラブル調停委員会」が解決のための助言または調停等の支援を行うものとする。
- 「ガイドライン運用委員会」は、この「ガイドライン」の規定に著しく違反し、または故意に違反した所属員に対し、改善を指導・勧告するものとする。
- 「ガイドライン運用委員会」は、「ガイドライン」の規定に著しく違反し、または故意に違反した所属員が前項の指導・勧告に従わないときは、「ガイドライン遵守事業者」の登録を取り消すことができるものとする。
- この「ガイドライン」は、平成19年5月15日から施行する。
- この「ガイドライン」は、必要に応じて随時改正する。
平成19年5月15日 制定
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