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葬儀社選びのポイントと注意点
point

はじめに

現代は全ての面において情報過多となり、様々な情報が虚々実々に氾濫するネット社会ですが、葬儀業界も乱立状態から過当競争により社屋のないネット業者や葬儀ブローカーなども混在。特に近年ではチラシやテレビCMなどあらゆる媒体を通じての宣伝が溢れております。私自身は一社員の時分には業界全体や同業他社には全く興味もなく、あくまで自社努力と当社へのご依頼者様に対するお手伝いに尽力するのみでしたが、今回、十数年ぶりにホームページをリニューアルするにあたり、初めて他社の宣伝媒体のPRを意識的に目を通す機会を持ちました。
前職では価格設定やチラシ校正などの業務にも携わっていたので、一般常識にならって、かつ客観性をもって拝見しましたが、業績のためとはいえ中には恣意的に作成されているような内容。ともすれば矛盾点が目につきロジカル(論理的)ではない内容のものも驚くほど散見しました。
余談ですが今年の 7月「 ご近所の知人から東邦を教えていただいた 」とご婦人が当社にお越しになられ、お話を伺うと「 先月に父が亡くなった際、新聞チラシで見た葬儀社に 10名足らずでの家族葬を依頼したら、30万円を切った表示価格だったにもかかわらず 80万円の請求・支払いが生じた。更にその葬儀社に海洋散骨も希望したら、やはりチラシ価格の 3倍の見積り金額を提示されたので依頼を見合わせた 」との旨で、その施行業者に対して「 詐欺だ 」というお言葉を発するほど、たいそうご立腹の様相でした。
私は葬儀にまつわる世間話を交えながら「 もっと大手の葬儀社に依頼していたら、さらに高額な費用がかかったと思いますよ 」と、その施行業者への擁護とも受けとれる、いささか奇妙な慰め方をしてしまいましたが、本題であるご用件に対しては「 自由にお参りができて、6カ所の霊園(33,000円均一)から選べる永代供養 」についてご説明。後日、ご尊父様のご遺骨をお住まいから最寄りの霊園にて永代供養をお済ませになり、ご婦人もとても喜んでくださいました。
ちなみに当社は「 ぜひとも我が社にご用命ください 」と言うようなスタンスでの営業PRは一切いたしておりません。ご家族の他界というご不幸・お悲しみの出来事に対して、過剰な宣伝やPRをするには若干のためらいもあります。そしてお亡くなりになった方を含め、ご家族の一大事に際して、人様それぞれ葬儀に抱くイメージ、求める内容も違いますので、費用面のみではなくTPOに合わせて選択基準も異ります。だからこそ後悔しないためにもご依頼する葬儀社選びにはじっくりと吟味、ご検討の必要性もあるかと感じております。当社は飲食店に例えるなら「 高級レストラン 」ではなく「 ファミリーレストラン 」でもなく「 定食屋さん 」。宿泊施設に例えるなら「 シティホテル 」ではなく「 ビジネスホテル 」でもなく「 ペンション 」あるいは「 民宿 」。もちろんご要望に応じていかなる規模・内容の葬儀も施行しておりますが、会社の立ち位置として< リーズナブル&アットホーム >を標榜してのお手伝いを心がけている次第です。
業界全体のイメージとして蔓延している「 最初の金額からつり上げられた 」や「 葬儀後の料金トラブル 」などの認識からくる不安感や警戒心を抱く方々も少なくなく、実際、そのようなお声も頻繁に耳にします。
葬祭業に関わる一員として、縁あって当社ホームページをご覧くださった方々には、ご依頼の有無にかかわらず、また周辺地域以外の方々でも、大切なご家族の葬儀で「 失敗した 」「 だまされた 」という感情だけは抱いてほしくない、残してほしくないと願ってやみません。そのためにも、本項では葬儀社選びのポイントと注意点などを併記いたしますのでご高覧いただければと存じます。

葬儀業界の特殊性について

もちろん「 職業による貴賤はない 」という大前提の上ですが、例えば同じ会社のマニュアルで社員教育を受けている接客業の店員さんであっても愛想の良い人と不愛想な人がいるように、または作業効率や営業成績に差があるように、どんな事柄においても最終的には個々の人間性などによるものと踏まえております。

この業界に関わってからも、とても丁寧な物腰や言葉遣い、まるで一流のホテルマンのような所作で学ぶべきところ、見習うべき部分のある他社スタッフも拝見しました。その半面で、時おり首を傾げたくなるようなシーンを目にしたり遭遇した事もありました。
十数年前まではインターネットも普及しておらず、業種に限らず料金表や価格体系が整備されていない時代背景もあったかも知れませんが、転職したての頃に、同業者・取引業者などから葬儀業界の裏話や悪習ともいえる体質を聞くにつれ、ひと昔前の「 人様(家族)の死をあらかじめ考えるなんて 」と生前に葬儀を考える事がタブー視されていた頃、その風潮に乗じて高い利潤を得ていた葬儀社も少なからず跋扈(ばっこ)していた。そう思わざるをえない内容の話も多々ありました。

残念ながら現在でもその傾向は完全に無くなったとは言い切れず、奇しくも今月には当社が加盟する全国組織の組合である全葬連から「 消費者庁や国民生活センターなどへの苦情・相談が報告されているので広告などのサービス内容や料金表示についての説明及び提示を徹底遵守するように 」との旨の、前例のない通達が届きました。
また、地域によっては区民葬・市民葬なる制度がありますが(古い規約のため木製祭壇を設置する条件を前提とした地域が多いですが)、これは使い回しでリースする祭壇の価格高騰を抑制、そして法外な請求金額による料金トラブルを防止するために、自治体(役所)で規定された祭壇・消耗品などの設定料金に基づいて地域の委託葬儀社が施行して、終了後も役所を通して金額の査収を受けるシステムです。言い換えれば「 民間企業各社の価格設定に行政のメスが入った 」ともなりますが、これも一般社会の常識からすれば異様にも思え、他の業種では考えられない葬儀業界の特殊性を物語っているとつくづく感じた次第です。
入社したばかりの頃、ベテランの先輩社員から「 慣れてしまうと葬儀社の人間にとっては数ある仕事のうちの 1件になりがちだが、ご家族にとっては一生に何度もない大きな出来事だから、けっして仕事として慣れすぎてはいけない 」。「 仕事の手順だけ覚えて 1〜2年も経つと一人前になったと勘違いする者が多いが、絶えず気持ちを引き締めて仕事に臨み、けっしてこの業界に染まりすぎるな 」と云われました。以来その言葉を教訓として今日に至っております。個人的には葬儀社の業務内容は通りいっぺんのマニュアル教育で一朝一夕に熟達できるような職務とは考えておりません。当社は前社長の時から「 社風 」として、生粋の業界人ではなく他業種での社会経験を豊富に積んだスタッフ構成にて、一般的な方々により近い感覚でのお手伝いをさせていただいております。

過少金額による誇大広告について

「 本当にその金額でできるのでしょうか?」。高級感が特長の某大手葬儀社のテレビCMで、有名俳優が注意喚起と称して「 悪質広告にご用心 」や「 詐欺まがいの問題業者が多く存在 」などの言葉で「 手遅れにならないように 」と呼びかけています。公共の電波を使用してのテレビCMでこのような内容が流れること自体が異例とも言えますが、これも業界の特殊性ゆえの事象であり、ある意味では同調せざる得ない部分もあります。
様々な業種の複合ビジネス化により、近年は葬祭業の分野にも異業種からの参入が相次ぎ、それによって不透明だった葬儀料金も可視化され、白日のもとに晒された感もあります。ただし、そのため過当競争に益々拍車がかかり、まさにあの手この手の客引き合戦が過熱気味に繰り広げられています。
通常、宣伝においては「 自社の特色と他社との差異 」がPRの基本ポイントになります。サービス業でもある葬儀社にとって「 誠心誠意 」や「 真心込めて 」は言うまでもなく当たり前の心構えですが、その文言だけでは全社が同じになってしまいますので、手っ取り早い集客のために目を引く低価格での金額表示をする業者が増加。物販業と同様に価格破壊の現象が生じておりますが、物販業と大きく違う点は、表示価格に基づいて履行されないケースも多く、それゆえ前記したような料金トラブル、時には訴訟なども発生している点になります。

「 おとり広告 」「 つりチラシ 」などと呼ばれている宣伝媒体が氾濫している昨今、現実問題として成約後の課金(料金アップ)を前提にした業者が混在している点は否めません。葬儀社の折込チラシやネット広告に目を通すと、会社によっては熟読すれば同業者の目のみならず一般の方々が見ても辻褄が合わなかったり、矛盾点のある内容が目につきます。例えば掲載されている写真と記載されている内訳が全く違ったり、内容説明文が理に叶っていなかったりと枚挙にいとまがありません。

また、ネット業者などでは内容や詳細よりもワンクリックで直通電話につながるボタン画面ばかりがあからさまに多く、その半面で電話番号のみで正式な社名や所在地・住所が記載されていないネット広告も目立ちました。中には都内ないし首都圏に 1店舗しかない葬儀社でも、施行地域を東京・神奈川・千葉・埼玉と広範囲に謳っている業者も多く見受けられました。ご依頼される葬儀社の「 質 」は距離とは無関係ですが、ご安置の場所などが遠方すぎては何かと不便な思いをしてしまう可能性もございます。
当社でも一部のニュアンスでは使用しておりますが「 安心料金 」「 明朗会計 」「 追加料金一切なし 」などのフレーズが並ぶのは、繁華街の水商売の看板や呼び込みでしか多用されていないかと存じます。ご依頼を受ける目的のみに特化、とりあえずご成約にこぎつける狙いに特化した格安料金での誇大宣伝には注意が必要かも知れません。別項で後述もいたしますが、広告宣伝費などを含めて全ての経費コストをご遺族様からの葬儀費用にて調達しなければ運営できないのが葬儀社の収支システムです。
生活保護費を受給されている方がご他界した際、状況によっては葬儀費用も税金から捻出されるケースもありますが、その場合には「 最低限度の質素な内容 」と定められた直葬形式となり、予算的には約 20万円との制約もあります。これを逆説的に紐解くと、葬儀社の通常料金において、直葬形式であっても実際の金額が 20万円以下の業者はかなり希少である事の裏付けにもなります。葬儀が終わってから悔いを残さないためにも、客観的な視点で広告などに目を通して、事前になるべく多くの情報収集をしておくほうがよろしいかと存じ上げます。

葬儀斡旋(あっせん)業者について

ネット業者・マンション業者の乱立による近年の競争激化ですが、中でも葬儀斡旋(あっせん)業者の施行件数が年々増加の傾向にあります。あっせん業者にも経営母体が葬儀社であったり異業種参入であったり、また規模的にも大小様々な会社がありますが、基本的には店舗(式場)を所有せずに、葬儀ブローカーとしてテレビCMやネット広告などの宣伝媒体を活用して集客及び成約。その上で、該当地域にて提携している葬儀社に仕事を施行させる仕組みです。建設業界における下請け・孫請け業者、チェーン店ならばフランチャイズシステムを連想していただくとわかりやすいかも知れません。
料金設定については、あっせん業者がプラン料金を確定させているケースもあれば、あっせんを受けた業者がそれぞれ各自の料金で施行するケースもあり、いずれの場合も元請け会社に対してはロイヤリティの支払いが発生します。近年の競争過多、そしてあっせん業者の台頭により、余剰人員のある中堅葬儀社や施行件数の不定期な個人業者などは、件数確保のために傘下に入り仕事を請け負っている傾向が顕著になっております。あっせん業者によっては各社ごとに提携業者のランキング付けをおこなっていたりもします。

実際に葬儀を施行する業者については、あっせん業者により近郊の下請け業者を紹介される場合もあれば、あっせん業者のネット広告などから何社かの下請け業者をご遺族様が選択する場合もあります。結果的には近郊の葬儀社に直接ご依頼をされるのと変わらない事になりかねませんが、その施行業者が設定している料金プランよりもあっせん業者の料金プランのほうが大幅に低価格だった場合には、同じ会社の施行であっても費用の軽減になるメリットがございます。逆にデメリットとして、あっせんされる業者の料金プランが大幅に高額だった場合には、利益率アップのため必要以上のオプション提案やグレード変更などを執拗に勧められる可能性・危険性も否めません。あっせん業者を通じてのご依頼に対して、自社に直接ご依頼される方の仕事と比べて、心情的にやっつけ仕事になってしまうリスクもはらんでいます。

紹介された業者、又は施行する業者が寝台車両や安置スペースを自社所有していない場合。当社でも寝台車両が出払っていた際や、都内の火葬場の安置所に病院から直行でご安置する場合には同じ条件となりますが、専門の寝台会社に送迎を依頼すると近郊でも 2万円前後、火葬場の安置所で 1日 1万円前後の料金が必要となり、安置所で棺やドライアイスなどを購入するとそれだけでも 10万円近い支払い金額が生じます。
あっせん業者にロイヤリティを支払い、数日間の業務に複数名の人員を使って赤字収支では会社運営に支障をきたします。どんな業種においても慈善事業でない限り、全ての会社組織は営利団体ですので、利益補填のためのオプション課金については、ある部分では致し方ないのかも知れません。尚、当社は健全運営をしておりますので、あっせん業者との提携及び傘下に入ることは一切なく、自社へ直接のご依頼、ご用命に対してのみお手伝いをさせていただいております。
あっせん業者によっては提携先が近郊になく、かなり遠方の委託業者が施行するケース、あるいは予定されていた委託業者の(多忙などの)都合で急きょ施行する業者が変更になる可能性もございます。
請け負う会社によって、内容はもとより葬儀そのものの雰囲気や空気感も全く異なったものになりますので、あっせん業者を通じてご依頼をお考えであれば、施行する可能性のある葬儀社または周辺地域で提携している葬儀社の所在地などを、あらかじめ確認しておくことをお薦めいたします。

割引特典・電話勧誘などによる会員募集について

事前会員の制度では古くから「 互助会 」が有名ですが、これは一般的には掛金を積み立てて、葬儀の際に割引きを受けられるシステムです。人様によっては県民共済や都民共済のような非営利事業の組織、あるいは全国ネットワークで統合された組織と思っている方もおられ、中にはご依頼者様から「 互助会の会員だけど東邦セレモニーでも使えるのか?」という旨のご質問を受けることもありました。
互助会は民間の大手葬儀社が各社それぞれ独自で制定及び確立している積立金システムです。実質的には予約キープ・顧客獲得を主目的とした性質も強く、過去には(元々の価格設定が高額なため)割引サービスを受けても相応の料金になる、電話や訪問などによる勧誘員の強引かつ執拗なセールス、解約渋りのトラブルなどが問題点として取り沙汰されていた時期もありました。
セールスレディから熱心に「 積み立てておけばタダで葬儀ができる 」「 残された家族に迷惑をかけないで済む 」などの決まり文句で口説かれて入会する方々が大半を占めますが、それら勧誘員の人件費や歩合制の成績給に積立金の多くが費やされるのは自明の理で、葬儀後に「 思っていたよりも安くならなかった 」という感想も頻繁に拝聴しました。

事前相談や事前リサーチは当社でもお薦めしておりますが、積極的な会員募集は一切おこなっておりません。何故ならば時代の変化により葬儀内容や料金相場も変動、または生活環境やお気持ちが変わる可能性もあるからです。いささか古くさい考え方かも知れませんが、人様のご不幸に際して詭弁を弄してまで「 予約 」を強く推奨するのもいかがなものか、との思いもあります。したがってご依頼いただいた葬儀に対しては事前・突然に関係なく、全て公平な観点から同一の金額にてお手伝いをしております。

互助会への加入には、運営会社によってサービス内容が各社で異なり、もちろんデメリットもあればメリットもありますので、対象となる互助会のプラン内容を様々な見地から考慮・検討、またプラン内容が将来的な生活設計に合到しているかを総合的にご判断する必要があるかと存じます。互助会システムは昭和から平成にかけて、数百万円という葬儀費用が公然とまかり通っていた時代の産物でもあり、全国的にも会員数は平成 10年を境に横ばいから減少傾向にあります。
近年においては大手葬儀社による互助会の有料会員よりも、中堅または個人業者による無料の事前会員システムへと推移、むしろ主流となっております。折につけ誇大広告の項でも触れましたが、過当競争により人様のご不幸にまつわる葬儀業界の広告などでも、物販業と同様に「 会費無料 」「 割引特典 」「 限定割引 」など、スーパーのチラシやTVショッピングさながらのキャッチフレーズが常套句として散見されます。
消費者心理と表現すると語弊がありますが、たしかに電話 1本または無料登録するだけで葬儀費用が 5万円も 10万円も安くなるのであれば、会員にならないと損をしてしまうような気持ちになります。と同時に、個人的には「 会員割引がないと実際いくらなのか?」「 割引前のもともとの価格設定は実際どうなのか?」という素朴な疑問が生じます。さも「 お得 」になるような宣伝表記で会員を募り、お名前やご住所を明記して会員登録を完了していただければ随時DMなども送付でき、葬儀社サイドとしては成約率アップに有効な手法とも思えます。ただし現実的には広告などで知った葬儀社から見積りをとったところ予想以上に高額で、当社を探しあててご依頼をされる「 駆け込み寺 」的な需要の件数が少なからずございます。有料、無料を問わず事前会員に入会をお考えの方は、審眼をもって複数の業者を見定め、そして見極めてご入会されるほうがよろしいかと存じます。

葬儀社の規模による判断材料について

「 葬儀費用 」という点を重視してご依頼する業者を選択する場合、その目安として対象となる会社の規模を判断基準にする方法もあります。なお、世間一般の「 大手 」という呼称では上場企業や従業員数 1,000人以上などが漠然とした定義になっておりますが、その基準では葬儀社の大半は同族経営の中小零細企業となり、上場している会社は全国でもごくわずかとなりますので、弊社ホームページ内の文章では従業員数が支店を含めて 100人を超えて、各地域で式場設備を所有している業者を漠然ながら「 大手 」と記述させていただきます。
まずは葬儀の流れとして、人様がご他界されてから荼毘にふされるまで、お迎えの搬送・ご安置 → お打ち合わせ → 事務手続き・火葬場申し込み → 葬儀施行 → 火葬場でのご案内・お見送りまで、どんなに最短でも 2〜3日、式場や火葬場などの日程的な都合により 1週間以上かかる場合も珍しくありません。

その数日間に渡り、のべ人数で複数名のスタッフが必要となるわけですので、たとえ日給が 5,000円だとしても人件費だけで数万円の経費が発生します。また自社で寝台車両を複数台所有して、それとは別に高級外車の霊柩車や送迎用のマイクロバスを所有して、豪華な式場を完備している会社では、その維持費や賃料だけでもかなりのランニングコストがかかります。さらには専属の運転手、打ち合わせ専門のスタッフから設営スタッフ・施行スタッフ・集金スタッフ、火葬場案内の女性スタッフ、それに駐車場整理のスタッフまで、それぞれを専任で分担しているような、いわゆる大手ではそれ相応の金額の経費が必要となります。少なくとも充実した設備の式場を所有して、それぞれの業務を専任スタッフが分業制で担い、10名前後の家族葬に対して自社スタッフが 4〜5名も配属されているような大手葬儀社では、必要経費から逆算して、施主様への請求額がある程度の高額になるのは必然の事として念頭に置くべきかと存じます。

例えば物販業であるならば大資本の企業は大量仕入れにより原価を安くして購入、それにより低価格での販売や薄利多売でのビジネス展開が可能になります。物販業とは異なり、葬祭業においては社屋の賃料・維持費から、アルバイトや外注を含むスタッフの人件費、広告宣伝費など、経営コストの全てを依頼者であるご遺族様から回収する以外には方法がなく、会社運営の手立てがありません。こればかりは他の業種のように「 企業努力 」という言葉ではいかんともしがたい事実ですので、会社組織として大手であればあるほど低料金での施行は困難になる構図が必至となります。個人的に葬祭業という職種は、物販業と違い原価のかかる有形商材が少なく、形のないサービスへの対価を頂戴する点では「 サービス業 」のジャンルにカテゴライズされると考えております。同じくサービス業であるホテル業界に例えるなら、高級ホテルのスイートルームとビジネスホテルのシングルルームを一緒くたに同列視する人はおらず、部屋によってグレードがあり、グレードが上がるにつれて料金も高くなり、消費者は予算や用途に応じて宿泊先を選択します。葬儀業界も似たような仕組みと言えますので、求めるグレードと代価とのバランスを選択基準の指標としてご検討なさるのも有効な手段の 1つです。なお、この頁ではあくまで会社の規模による「 金額 」の目安の考え方ですので、施行内容の「 質 」とは無関係であると付け加えて記述しておきます。
では会社の規模が小さければ葬儀料金がお安いかとなると、それは各社の経営理念によりけりで一概に断言はできません。葬儀社勤務を経て、ノウハウを覚えて独立した個人業者の場合、独立前に在籍した母体となる葬儀社の料金設定が基準となりがちなので、やはり各社まちまちです。施行のつどに寝台業者や人材スタッフなどの外注に依頼を要する業者ではそのぶんの必要経費、運営コストがかかりますので、真の意味での「 安心料金 」を導き出すには複数の葬儀社への相見積りや事前リサーチなど、やはり精査が必要という他ありません。

オプション価格の設定料金による判断材料について

葬儀傾向が簡素化・簡略化する中で、はたして何が無駄で何が必要なのでしょうか?当社ではその判断は全てご依頼者様に委ねております。
例えば映画「 おくりびと 」が話題になって以降、納棺師という職種が周知となり、ご依頼者様から質問を受ける機会も増えました。本項で何度となく記述しておりますように慣例・しきたりにはかなり地域性があり、首都圏でも農家のご家庭などでは親族一同が集まり、映画のシーンのような「 納棺式 」を行なうケースもあります。ただし現実的には人様が病院や介護施設でご他界された際には、必ず死亡後の衛生的な措置がなされ、逝去時ケア又はエンゼルケアなどの項目で数万円の費用が医療費とともに加算されておりますので、その後に高額な料金をお支払いして納棺師を手配する必要性はほとんどございません。

納棺師を手配した場合、当社では 41,800円(税込)にて 2名(あるいは 1名)の納棺師が経帷子(白装束)に袖を通して故人様に着用、男女共に死化粧(ラストメイク)を施します。宗教的や慣例的なしきたりからご用命を受ける事もありますが、実際にはお顔やお身体の状況により、技術的な面で納棺師が必要となるケースのご依頼が大半を占めます。葬儀社によっては納棺師による施術が不可欠とした前提で手配並びにオプション追加している業者も少なくないですが、内容説明の上でご要望を伺うと、当社では納棺師を手配する割合は全体の 1割程度です。

過去に葬儀経験のあるご遺族と雑談交じりの中でお話を伺うと、前回の葬儀の時には無条件で納棺師が(必須として)手配されて、6〜8万円または 10万円以上の費用だったとお聞きします。あるいは更に高額なエンバーミング処置を強く勧められた、というお話も何度となく耳にしましたが、当社ではエンバーミングのご依頼・手配はこの 10年間で 0件です。
ちなみに当社での旅支度においては、基本的には「 故人様に対する最後の親孝行、ご恩返しとして、他人の手ではなくご遺族ご親族様の手により施すのが本道 」との考え方から、白装束はお身体の上から広げて掛けていただく流儀にて、ご案内の元、ご親族の皆様と一緒に旅支度のお手伝いをさせていただいております。もちろんご遺族様の希望やご都合などにより、私どもスタッフが無料で旅支度を整えるケースも多々ございます。
また、お棺(棺桶)に関しても、葬儀社によってはベニア素材のプリント板の棺をノーマルプランに設定。比較対象のグレードアップとして布張りの棺を勧めて、さほど原価が変わらないにもかかわらず 5〜10万円の追加課金をしている業者も珍しくありません。そして骨壺に関しては、火葬場で収骨後にお渡しする際には木箱にお入れしますので、骨壺の色柄や、例えば大理石など素材にこだわる方はほとんどいらっしゃいませんが、葬儀社から「 執拗に高額な骨壺を勧められた 」という声もたびたび耳にします。歩合給制や、ノルマが課せられている会社では余儀ない内部事情もあるでしょうが、当社では棺についても骨壺についても、10年前までさかのぼってもご遺族様からグレードアップのご要望があったのは(私どもの営業力不足かも知れませんが)数件程度です。
私が長らく従事していた物販卸業では、競合も激しく数%のペーパーマージンで取引する事もあり「 2割儲かれば御の字 」という感覚でしたが、葬儀業では会社によっては原価のある物に対して「 何割 」ではなく「 何倍 」という利益計算で金額設定をしているケースも多く見受けられます。物販業における大手スーパー・ドラッグストア、ホームセンターなどの量販店と違い、葬儀社には商材が非常に少なく、取扱品目や在庫などは限られた数ですので、他業種のようには仕入れ原価に大差がありません。会社の規模によらずほぼ同等の原価ですので、オプション又は追加料金とされる項目の価格を見比べる事により、その会社の利潤や利益率に対する姿勢が担間見える場合もありますので、ご一考の余地はあるかと存じます。

オプション料金
品 目 価 格
(税込)
内容・内訳

ドライアイス

6,600円

追加分 1回 10kg(約 24時間保冷)

遺影写真セット

15,400円

四ツ切・手札サイズ各 1組、スペア手札 2枚付

後飾り二段セット

9,350円

巾 81cm×高 45cm・線香仏具一式付

白木位牌

1,870円

全高 40cm(大サイズ)、御芳名入り

骨壺収納バッグ

1,100円

骨壺と遺影写真が収まる布製手提げバッグ

生花(供花)

16,500円〜

和花・洋花各種有り(御名札付)

お別れ花セット

19,800円

直葬形式のお別れに適した盆花(花束付)

大看板(外立て)

17,600円

白地黒文字・10尺(3.0m)タイプ

警察用必需品

14,300円

防水グレーシーツ、納体袋

納棺師手配

41,800円

白装束(羽織付)着用・ラストメイクなど

司会者手配(1日)

27,500円

ナレーション・司式進行・焼香案内など

司会者手配(2日)

49,500円

ナレーション・司式進行・焼香案内など

永代供養

33,000円

6カ所の霊園より自由に選択

福祉葬(生活保護葬)について

近年の過当競争における過剰宣伝の中で、最近では福祉関連の仕事を積極的に取り扱っていなかった業者も「 福祉葬 」または「 生活保護葬 」なる項目を設けてPRするケースが増加しております。その多くが集客・成約のため、あたかも無料で施行できるようなニュアンスで 0円と表示。中には目立つように赤色で 0円と記載している業者もあります。
ただし、肉親が生活保護を受給していても、ご他界後に必ずしも国から援助が受けられるとは限りませんので、むしろ注意が必要な点もございます。残されたご親族様に葬祭費の捻出が可能と判断された場合には申請が通らないケースも多々あります。生活保護は憲法第 25条に基づく国民の「 最低限度の生活の保障制度 」であり、受給者がご他界されると「 生活の保護 」という扶助からは適用外となります。
その後の葬儀費用に関しては、ご他界された方に身寄りが全くない場合には、ほぼ無条件で税金からの捻出(葬祭扶助適用)となりますが、故人様に扶養義務者または 3親等内のご親族(配偶者・ひ孫までの直系血縁者・兄弟姉妹など)が存在する場合には、基本的にはご親族様の自己負担となり、その際の葬儀形式や内容はもちろん自由です。葬祭扶助が適用されるには、対象となる方が受給されている自治体による細かい基準や審査の上で決定となりますが、生活保護法第 18条においては、故人様又は同居している施主(喪主)様が受給者であることが前提であり、あるいは残されたご家族様が経済的に困窮(余裕がない)と判断された場合を条件としての救済措置となります。
葬祭扶助費の予算は、自治体(市町村)の規模によって上限は異なりますが、概ね 20万円前後となっております。
葬祭扶助の費用は施行した葬儀社が自治体に請求するプロセスが通例ですが、上限金額の中には火葬料金や消費税なども全て含まれており、前記させていただいたように現実的には総額 20万円で施行する業者はかなり少数ですので、安置日数やドライアイスの回数など認められている追加項目を課金して、上限を超えて請求している葬儀社が多いのが実情です。

葬祭扶助が適用された場合、行政からの支出は全てが税金からの捻出ですので、基本的には「 必要最低限の内容 」との条件がつき、例えば生花などの華美な装飾や「 政教分離の原則 」から宗教的儀式も対象外となり、いわゆる「 直葬 」の形式になります。葬祭扶助(公費)の上限予算に、残されたご家族様・ご親戚様が自費をプラスして式場を借りたり祭壇を設置した場合、一部でも費用の負担ができるのであれば経済力があると判断され、さらには必要最低限の範囲を超えていると判断され、葬祭扶助の申請が承認されなくなる可能性が高まりますので予め念頭に置く必要がございます。

もちろん地域性もあり各自治体によって様々なケースがありますので、ご不安な方はまずは前もって該当地区の福祉課及び担当ケースワーカー様にご相談なさるのがよろしいかと存じます。
また、葬祭扶助が適用されずに自己負担となった際の注意点も追記させていたただきますが、本項の文頭に記した「 福祉葬 0円 」と大々的に謳っている業者であっても、実際に公費ではなく自費でのご負担となった場合、その業者の通常価格での請求金額になるケースも多く、中には大手葬儀社に依頼して「 直葬 」の内容で 40万円以上(火葬料金別)の請求だったという話も頻繁に耳にします。
逆に、葬祭扶助を適用されたご遺族様が、故人様が亡くなった病院での搬送時から、火葬当日に火葬場での現地集合まで一切の面会も叶わなかった。あるいは面会の制限のみならず、あらゆる面において差異や不自由を感じざる得なかったという声もよく拝聴します。
ご家族様が他界された際に後悔しないためにも、万が一に備えて自治体へのご相談と合わせて近郊葬儀社のリサーチもお薦めいたします。
尚、当社は福祉関連の施行件数が多いこともありますが「 ご家族を失った方のお悲しみに差異はない 」との観点から、ご依頼を受けた全ての皆様方に同じ内容でのお手伝いをさせていただいております。
基本的には「 荼毘葬プラン 」の形式にて、自社式場も空き状況次第で解放して「 自由葬 」や「 お別れ会 」としてご使用いただき、長時間ゆっくりとお過ごしいただきます。
私ども東邦セレモニーは福祉関連の施行に限らず、経済的にゆとりのない方にこそ、いかにご負担をおかけせずに高額な費用をかけた葬儀と遜色ない内容のお別れをご提供できるかが、会社の「 品 」そして「 質 」と考えております。

相談無料・年中無休葬儀 119番
0120-44-0190